≪ シリーズ ★旅を迎えていた時間のお話です。第1話「整える」≫
STAFF’S BLOG
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旅人が客室に入るとき、そこにはすでに、整えられた部屋があります。
畳があり、座椅子があり、座布団が置かれている。
窓から入る光も、いつものようにそこにあります。
けれど、
その「いつもの状態」になるまでには、誰かが過ごした時間があります。
旅が終わり、お客様が部屋をあとにすると、
静かに次の時間が始まります。
使われた布団を片付ける。
部屋の中を確認する。
ひとつずつ、元の場所へ戻していく。
次に来る方が過ごす時間を思いながら、
客室を整えていきます。
毎日繰り返される、
宿の日常のひとつです。
客室を整えることは、
特別なことではないのかもしれません。
けれど、
その部屋に次に来る方にとっては、
その日が旅の始まりです。
函館へ向かっている途中かもしれない。
楽しみにしていた人との旅かもしれない。
ひとりで、
ゆっくり過ごすための旅かもしれない。
私たちは、まだその旅を知りません。
だから、
まだ誰もいない部屋を、
ひとつずつ整えていきます。
座椅子を戻す。
座布団を整える。
部屋を見渡す。
そして、
「これで大丈夫」と思えるところまで、
静かに確認する。
大きなことではありません。
けれど、
その先には、まだ見えていない誰かの時間があります。
部屋が整ったとき、
私たちの仕事はひと区切りになります。
でも、
その部屋の時間は、そこから始まります。
次にどんな人が来て、どんな旅をして、
この部屋でどんな時間を過ごすのか。
それは、まだ分かりません。
ただ、
その時間を迎える準備だけは、今日もできています。
Season3では、
少しだけ視点を変えて。
旅人が来る前に、宿で流れている時間を綴っていきます。
部屋を整える時間。誰かを迎える時間。
一日の中で繰り返される、何気ない時間。
そこにも、
旅につながる時間があるのだと思います。
その一つひとつを、少しずつお届けします。
次回は、
また別の「旅を迎える時間」のお話です。
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KKRはこだてスタッフが綴る、新しい函館旅のエッセイ。
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